4日目 】  : 美濃田の淵 (徳島)高松 (高知)
・洪水の朝

 目が覚めると、床がフカフカしてた。
 フカフカ?
 寝ぼけたまま床を指でツンツンしてみると、確かにそうとしか形容しようがない状態。
 俺こんなとこにテント張ったっけ・・・てんな訳ねえし

 改めて目を覚まし、外の様子を見てみると、どんよりした雲。
 そして雨が多くも無く少なくも無く降っていた。
 どうも昨夜からそのまま、結局一日中降ってたようである。
 んでそのまま下を覗いてみたらば、、、

 なんじゃこりゃ。

 朝一の信じられない光景

 周り中、水 浸 し。
 フカフカしてたのも、テントの下に水が入り込んでウォーターベッド状態になってたからで。
 マジですか。
 まあオカゲで寝心地は悪くなかったけど。

 でどうもこの場所、水はけが死ぬほど悪かったらしい。
 つーか排水溝の穴や溝らしきもんが一切ないし。
 何考えて作ってんだ・・・。

 念の為テントの中を隅々までチェックしてみたら、一部に水漏れがっ。
 そらー造ったメーカーもこんな状況は想定されとらんわなぁ普通。
 ただ不幸中の幸いで、なんとか濡れてダメージのある物(紙資料や電化物)には水害が及んでなかった。

 しかし問題はこっから。
 上から下まで雨水で濡れに濡れたテントの重いこと重いこと。
 何よりゴワついて折り畳めないんだなコレが。
 荷物とテントとそれらをバラバラに収納するべくもないママチャリを前に、この事態を一体どう収拾するべきか軽く途方に暮れる。

 雨も降り止まず、ただ突っ立って待ってても一向に事態が好転しそうにない(当たり前)のでとりあえずはまず濡れてる物と濡れてない物とを分けてみる。
 んでそれらを無理矢理分別してまとめ、別々な袋へ収納する。
 これでともかくも身動きがしやすくなったんで、どこか屋根のある雨のあたらない場所が近くにないかウロウロと物色してみると、キャンプ場の入り口近くにここより更に大き目の休憩所があった。
 一番近くで何より屋根のある場所はそこだけだったので、迷わず臨時避難所として使用する事に。


・乾かしの儀

 テントを広げてフキフキ

 さすがにクソ朝っぱらだけにあたりに誰もいない。
 が、ここからがまた忍耐の限界に挑戦するような作業が目白押しだった訳で。
 とにかく1つ1つ、濡れたものを拭いてその拭いたタオルを絞って、を繰り返す。
 なんとか大丈夫っぽくなったら畳んではしまう、を更に繰り返す。
 なんせ重いのだ。水に濡れたそのままだと。
 この旅では何より重さがある=走行距離に響く=どこへも行けないに直結するわけで。

 んで小一時間かけて(泣)なんとか小物は片付いた。
 そいて最後に残った一番の大物、テント君の清掃&水分除去作業に取り掛かる。
 想像してほしい。
 広げれば2m四方の空間が作り出せるだけの布が、全面たっぷりと水浸しになっているのである。
 それを丹念にフキフキしかもタオル一枚オンリーで成し遂げねばならない労力というのがいかほどのものか・・・。
 でも多分こーゆー旅をし続ける限り、これっきりって事ぁないだろなぁ。


・土砂降り道中

 起きたのが大体朝の五時半頃。
 んで今、ようやく全ての出発作業の準備が整ったの、が7時半。
 2時間もやってたんか。。。
 どうりで多少疲れもする訳だ。

 完全防水仕様ママチャリ

 とりあえず用意は整った。
 リュックからバッグから、荷台に積んだテント&毛布の入った袋から、皆大きめのゴミ袋で余す事無く覆ってカバー。
 このゴミ袋だけはいっぱい持ってきててホント正解。
 後は雨が多少なりとも止めばなあ、、、としばらく朝食代わりのカロリーメイトを口にしながら待ってみるも、一向に止む気配はなし。
 しかしこれさえ乗り切れば、今日は「讃岐うどん」が俺を待ってる!と思うと力も入ろうってもんである。
 という訳で、降りしきる雨の中、決意も新たに出発を開始したのでありました。

 4日目Map

 吉野川ハイウェイオアシス(美濃田の渕)を離れ、国道32号線へと戻る道をひた走る。
 とりあえずはJR土讃線の箸蔵駅あたりを目指して。
 雨は相変わらず強くなったり弱くなったりで降り続いたままだが気にしない!
 上下のカッパは着てたけど、もはや濡れてないのは胴体くらい。でも気にしない!
 途中の看板で今そこが高松まで50km、琴平までで21kmの地点にいる事を確認。
 お〜これくらいならあとちょっとって感覚だな。道さへ平坦なら。


・猪ノ鼻峠

 峠へ向かう道

 小一時間後、無事昨日以来の32号線へ戻り、箸蔵駅を過ぎてそのままノンストップでこの旅最大最強の難所「猪ノ鼻峠」へ向かう。
 今日のここへ来るまでの道程は、ごく平坦でちょっと都会から離れただけの普通の町並み、といった感じでそう特に疲労は感じたりはなかった。
 しかぁし。
 この、これから向かう猪ノ鼻峠への道のりには、“平坦”なぞという言葉はかけらも見当たらなかった。

 ひ た す ら 登り坂。

 2日目の高知→甫喜ケ峰の時でも坂道はあるにはあったけども、こっちは更に上。
 なんせ見渡す限りの山山山。
 とにかく角度はそれほどでもないけども、真綿で首を締められるように延々とその坂が先も見えず伸びてるのである。
 雨の中これはキツい。(精神的にも)
 まあひょっとしたら、2日目の時より貯まった疲労が、より一層そう感じさせたのかもしれんけど。

 でそんな坂道をギアも付いてないママチャリで上り続けれるハズもなく。
 延々手押し。
 更に坂だけならまだしも、プラスしてオマケに交通量(特にトラック)は多いわ歩道はないわ。
 何より特筆したいのが、売店がねえ!
 あっても廃屋だったり近寄ってみたらラブ○テルだったり。
 たま〜に果物屋もあったりするけど結局あったのそこ1軒だけ。
 まあ車で行きゃぁ1時間もかかんないところだろうから必要ないっちゃ必要ないんだろけども。
 なのでともかくココを通るときは数少ない自販機売り場で逃す事無く水分補給をされる事をオススメします。
 誰がいつ参考にするかどうかは兎も角。


・最も危険なトンネル

 出発してから二時間半。
 上り坂もようやく終わりが見え、平らな道の先に1つのトンネルが見えた。
 ここらで数時間振りに手押しをやめてママチャリに騎乗。
 しかし、ココこそが、今回の旅で唯一命の危険を最大限に感じたところ「猪之鼻隧道」である。

 なんつーか。
 まず側道が狭い。
 なんとかチャリ一台が通れるかどうかって程で。
 んですぐ側をダンプがびゅんびゅん。
 更には水を吸った泥が道の脇に堆積し、これにタイヤがとられるとられる。
 トドメにこれが約1km近く続くんである。

 ここでコケて、後ろからダンプが来てたら俺即あの世だなー。

 という物凄えプレッシャーを感じながら少しでも道の脇へ、かつ泥にタイヤを振り回されながらもなんとか平衡を保つようにフルパワーでハンドルを握る。
 それ以外の余計なことを一切考えないようにしてヒタスラ前を目指す。
 という精神修行のような苦行を経て、途中何度か崩れ倒れそうになりながらも無事、「猪之鼻隧道」を突破!

 猪之鼻隧道

 トンネルを抜けても外はまだ雨がざざ降りだったけども、それさえも外界へ抜け出せた喜びに感じられたくらいでありますた。


・爽快下り坂

 そこから目の前に広がってたのが、どこまでも続く下り坂!
 ひゃっほー。
 って感じで駆け抜ける。
 これは気持ちイイっ。
 今までの苦労はこれを味わう為だったのか!と。
 まあ、雨は存分に降ってたままだけど。
 (この時点で身体に濡れてないところは皆無状態)

 ただ幸運な事に、上から平地に至るまで車とほとんどすれ違わず!
 歩道もあまりなく、しかも雨で視界も悪い状況下でこれはほんとーに助かった。
 多分ここで今回の旅で一番の速度が出たと思うんだけどメーター類(こんなの)を一切付けてなかったので知る事叶わず。
 次の旅では安物でもいいから絶対付けようと心に誓う。
 (今回は金銭面でカツカツだったので諦めた・・・)


・うどん攻め

 たからだの里さいた

 猪ノ鼻峠の終着点、道の駅『たからだの里さいた』にたどり着いたのはまだなんとか昼前の頃。
 ちなみに上の写真で左下の写ってるのが、ビショビショになったカッパである。
 ここまで辿り着いた途端、脱いでも大丈夫っぽいくらいに雨がやみやがんでやんの。
 まあいいけどっ。

 でかなり疲れてはいたけども、ある1つの事柄がこの時大いに身体を支えていた訳で。
 そう、やっとこさ待望の讃岐うどんである!
 これあるからこそ四国に来た、と言ってもそう過言ではない程である。

 出発の遥か前から既に突撃予定の店の目星はつけてあり、ここでもう一度実際の己の現走破能力を計算に入れて作戦を練り直してみる。
 とりあえず、どう考えても予定(夢想とも言う)してた“うどん屋10軒にオマケに丸亀・高松観光+坂出訪問”なんざ夢また夢って結論に辿り着く。
 時間的にも体力的にも絶対無理。
 それならばまずは、どうあれ近場のうどん屋を徹底して攻めるべきだわな!
 何より旅的にも一番優先度が高い訳だし。
 てか腹へってるし!!
 って事で、ここより一番近いところにある「やまうちうどん」をまず攻略の第一歩とすることに決めたのでありました。

 折りしも雨は小ぶりのまま安定しだし、意気揚揚と道の駅を出発。
 ここで出口にたむろってた若いねーちゃんにはなんか存在自体をビビられたようなリアクションを取られたような気がせんでもないけど気にせんとこうウン。

 やまうちうどんへの看板

 途中ほんのりと道に迷いながらも、なんとか「やまうちうどん」に到着。
 つーかほんとにわかんねーよコレ!
 フっと油断したらアっつー間に見逃してしまいそうな看板だけ、ほんとそれだけが目印としてあっただけで。
 ただ、ナンバー不揃いの車が文字通り続々と“そこ”を目指して集まって来てたので、なんとなーく雰囲気で方向がわかりやしたが。
 ちなみに行き方は国道32号線から黒川というところで仲南町の方に曲がる。
 とそのまま真っ直ぐJR土讃線と並走して走ってる道を行くと、踏み切りのところに上述の看板が出てるので、これへ向かって曲がればOK。

 んで近づいてみると、これがまたえらい車・車・車。
 駐車場は拡張に次ぐ拡張って感じで結構用意されてんだけども、それにまったく追いつかない勢いで車が次々入ってくるという。
 でそれを尻目に我が愛車は共にすいすいと入場。
 これこそ、チャリの唯一かつ最大の利点だすな。

 やまうちうどんへの道(細っ)

 車一台分がやっとの狭き道を潜り抜け、辿り着いたそこはぱっと見、、、ただのくたびれた農家のようでありました。
 看板があって車と人が右往左往してなければ、ここでうどんが売られてるなんて到底わかんねーなってくらいである。
 とりあえずママチャリを置いて、、、って自転車置き場が見あたらないんですけど。
 まさかひょっとしてここに来る人間でこの交通手段で来る人ってもしかして全然いないのかなーなんて考えてみたり。
 ともあれ仕方なくそこらへん適当にチャリを止めて、さっそく店の中に入ってみる。
 中は外にも増して結構な人手で、ほぼ満席状態でありました。
 ここ最近のブームのせいなのか、一応今日ってば平日なのに。
 が、客の回転のこれまた早いこと早いこと。
 まあメニューが実質1種類っきゃないんだから、何頼むかで迷う事はないわな。

 やまうちうどん(テラス(?)でも飲食可みたい)

 こちらでの形式は基本がセルフ方式(手前の分は手前で)でありまして、まず入り口近くのうどん配給所みたいなとこに並んで、好きなメニュー(つーかうどんの温冷と大中小)を注文する。
 するとそこで1分とかからず待ってると、出来上がったうどんの入った丼がおばちゃんからホイとばかりに手渡されるのである。
 最期にそこへ好きな天ぷらを欲しければのせれば一丁あがり。
 あとは後ろの好きな席に座ってそれを食すのみ。

 メニューの温冷は「あつ」と「ひや」と呼び、これを麺とダシのそれぞれにチョイスする。
 「ひやひや」は麺もダシも冷たく冷やされたもの。
 「あつひや」は麺が温かくてダシが冷たいもの。
 というその他「ひやあつ」「あつあつ」と4種類のうどんの楽しみ方がある訳ですな。

 やまうちうどん店内

 天ぷらは10種類くらいで、なくなると随時おばちゃんの手空き時に補充される。(実際この並んでた時にはコロッケがなかったけど後で見ると補充されてた)
 で払いは食った後、食器持ってうどん配給所の奥に入ってそこで自己申告して清算。
 そこから出口専用の扉に続いてて、スムーズに出る事が可能なシステムになっております。

 でシステムの説明はこれくらいにしておいて。
 肝心のお味の方ですが。
 チョイスしたのはなんとなく好みな「ひやあつ」(麺が冷たくてダシが温か)。

 「ひやあつ」うどん

 ただ一言、「旨すぎ」

 てかほとんど一瞬で食っちまっただよ!
 チョイスした天ぷらのゲソがまたデカいかつ味も秀逸でございまして。
 また出汁が旨い!
 何より、冷えてコシがありながらもモチモチしてかつ味に透明感のある麺と、この三位一体のハーモニーがまた絶妙でありました。

 これはもう一杯いっとくか?と激しい誘惑に駆られるもまだまだ行きたい店が俺を待ってるって事もあり、なんとか引きずるような足取りで店を出る。
 ちなみにお値段240円。安っ。
 小とは言え少ないって事もなく普通の量でした。
 まあこの店+あともう1軒くらいをターゲットにするなら、大を選んで間違いはないでしょう。(つかそうしても後悔はなかったな)


・二軒目への長い旅

 さて店を出て次行こか〜、と思ったここからがまた大変だった。
 なんせ次に目指すうどん屋「宮武うどん」までの道のりを示す地図が、結構な縮尺(1/2万)のやつしか手元にないのである。
 これがそもそもの始まりでありまして。
 その地図で見ると、まるで普通に大通りに面したところに簡単に店が存在してるかのように書かれてあった。
 が、実際全然そんな事なかった訳で。

 店に辿り着くまでの1時間、もうここ香川は仲南長から琴平町まで、時々善通寺市や綾歌町を何度も何度も行ったり来たりでウロウロしまくりマクってしまった・・・。
 振り返るとここが一番今回の旅でしんどかったなあ。
 なんせ場所がわからん!
 結果的にはここでとっとと諦めてれば一番良かったんだけども、「あともうちょっとで辿りつくかも」とゆう淡い期待がそのたび頭を掠めてズルズル延々と探す事に。

 で、もうここしかねえってところまで絞り込んだ所に近づくと、、、ありましたよ!
 お店がっつーよりまずそこへ向かう車の大大大行列が!!

 宮武うどんへと続く車達(あ、泉ナンバーまであるよ)

 これは エ グ い。
 さっきの「やまうちうどん」での行列が児戯に等しく映る程に。
 写真に見えてるのは行列のその極一部でありまして、西から東から来た車がずら〜っと整列してる様は壮観ですらありますた。
 で、まあ来たからにゃあとココでもまた適当なところにチャリを止め、人の方の行列に並んでみる。
 ちなみに車の方は駐車場に停めるだけでもえっらい事になってたようです。(てか毎分1cmも動いてないような)

 ・・・つか人の方も進まねえ!
 いやなんかあったんか?ってくらいにこれが前に進まないのでありますよ。
 10分まって2〜3歩進んだかなあって感じ。
 で前後の周りの話しを聴いてると、どうやら既に一時間近く待ってるらしいが、進んだのは数メートルくらいだそうで。
 まだ店どころか敷地と思われる通路まででも10mくらいはあるってのに。。。

 これ幾らなんでも待っとれんわ。

 それからもうしばらくだけ待ってみたけども、それでもなんの進展もなく。
 なのでここはスパっと諦める事に決定。
 なんせ前食以来動きまくったせいもあり、再び腹も減りに減ってきてたもんで。
 こかぁアレだね。もし来るならローテーションの最後か一番最初に開店前から並ぶ、くらいの勢いで攻めに来るところだね。
 てか客多すぎで回転悪過ぎ。出てくる客もマバラだったし。
 うどんしかメニューなくて皆何に時間食ってんのやら。。。

 さて次どうするか。
 こことここに来るまでで結構な時間を浪費してしまった為、あまり広範囲に動く事がかなり制限されてしまった。
 今日くらいはベッドでゆっくり寝たいなぁという欲求もかなりあったので、その為にも夕方までには高松あたりでホテルを見定めておかねばって算段があったのであります。(深夜いきなり行って泊めてくれっつってもし部屋が無かったら、、、)
 てか荷物も乾かしたかったし何より洗濯物をなんとかしたかったし、と色々あった。
 何より都会でテントde野宿、というのはなんか怖いんだよねえ。
 人がいる、それも大勢、、、って事自体が怖いっつーか。
 何より何故か現在フトコロに余裕があるしぃ。
 うほほ。

 でそう考え詰めていくと、次はその高松へ向かう線上の店を選ぶのが得策か。
 ホントは丸亀あたりの観光もしたかったんだけども。。。
 まあ次回の楽しみって事でとっておこう。

 て訳で次に目星をつけたのが、伝説級の讃岐うどん屋「中村うどん」であります。
 ここは是非にも行っとかねばならんところでしょう。
 それに雨の方が単なる曇り空に変わり、ここまで来るまでに濡れそぼってた服もほとんど体温パワーで完璧に乾いてるこったし!

 一旦東に出て、土器川に沿って北へ抜ける。
 この川沿いがなかなかにサイクリングロードしてて快適快走。
 んで「やまうちうどん」を出ること小一時間。
 土手沿いから県道18号線と交差する高柳橋を曲がり、ひっじょーにわかりにくい小道を曲がり抜け、やっと着いたその倉庫にしか見えない店舗で眼にしたものは、、、

 無常の貼り紙

 おおおおおおおおおおおぅぅぅいいいぃぃぃぃ。
 今日は2003年8月12日。
 そう、火曜なんである。
 ここもダメなんか・・・・。

 ちなみに大通りからここへ来るまでの道もまたアフォか!ってくらいに細いんだけども、そこへ同じように定休日を知らない車がひっきりなしに目指して来ては引き返す、を繰り返しておりました。
 しかし私的にはココこそが讃岐で食いたかったうどん屋ベスト5くらいにランクインされてたとこなので、ヘコんでちょっと呆然となったのは内緒だ。
 いつになったら二軒目食えるんだぁぁぁ。

 時刻は既に2時。
 高松までの距離がもう25kmって事を考えると、そう切羽詰ってる訳でもないんだが。
 ただもしあとまだ何軒かうどん屋入ってうどん食って、としてるそのトータルな時間の事を考えると、如何にも余裕不足の感もする。
 もうこうなりゃまずは高松を目指して、そこで一旦宿泊場所を決めて落ち着いてから改めて再出撃するか?!

 とりあえずそう決めて早速動き出す。
 なにせ移動手段が手段だけに、決断の遅れは時間的に取り戻す事が非常に困難なのである。
 行くと決めたらとっとと動き、その場その場で必要とあらば柔軟に作戦を変更する。
 これがママチャリ旅に要求される基本行動かもしれない。多分。

 んで走り初めて10分ちょっと。
 「中村うどん」からそう遠く離れてないとこで一軒のうどん屋の前を通り過ぎた。
 念の為、自作のうどん屋MAPと資料を調べてみたが、全く載ってないノーマークな店である。
 が、なんかオーラを感じる・・・。
 いやホントに。
 先程までの店のように、車が行列できるほど来てる訳でないけど、客はひっきりなしに訪れてるようだ。
 考えてる間にチャリを停め(ここも自転車置き場はなし)、腹の虫を信じて入ってみた。

 木村うどん入り口  木村うどんのうどん

 「木村うどん
 単に己の資料の不備で載ってなかっただけの、堂々“旨い”と言えるうどん屋でありました。

 程よいコシに旨いダシ。
 これだけの説明だと既出の「やまうちうどん」と同じだけども、これがまた違う味わいなんだな。
 んでココでチョイスしたトッピングが「昆布の天ぷら」。
 こればまた旨し!
 歯応えと昆布の香りがサクっと揚がってて、これにキュっと冷えた麺と非常によくあってる。
 でお値段230円。(うどん150円+天ぷら80円)
 安い〜。
 ちなみにダシと生姜はテーブルに常備されてましてお好みの量入れる事ができやす。
 慣れるとイイシステムかも。
 慣れないとって言うか知らないと“この店ってばダシなし?”って思う事間違いなしなシステムではありますが。(間違えた人)


・高松へ

 無事昼食を完食する事ができ、満足感に浸りながら次の計画を練る。
 てゆーかこの時点で既に2時の半。
 まずは何より高松まで行ってからだと判断する。

 香川県は綾部郡、飯山町から東へひた走り、高松自動車道をくぐってJR予讃線の讃岐府中駅を目指す。
 途中、額坂峠という坂道に差し掛かるも既にこれを走破するだけの走力が残ってるハズもなく、しかし気力だけはうどんパワーで補えていたので“ノンストップ手押し”走法(?)で乗り切る。
 てかここって坂出のごく近くだよなー。
 で坂出と言えば遥か以前に行った事があり、そこで散々共に遊んだ通称“カグァワの大魔人”こと坂の松氏のすぐ近くではないですか。
 まだその頃の数年前の携帯番号、生きてるんだろか、、、と思いつつ連絡を取ってみる。
 繋 が ら ね え。
 まあ番号変わった可能性もあるし。何より今日平日だし。
 って事で気にせず坂出の地を後にした。

 国分寺町に入る手前で国道11号線に合流する。
 さすが国道だけあって幅も広けりゃ坂もそうなく、歩道もバッチシで言うことなし状態。
 でそこから更に漕ぎ続ける事小一時間半、ようやく高松市に突入!

 高松へようこそ、的な看板、だったら良かったのにな

 まあでもここから高松の市街地まではまだまだある訳ですが。


・またかい

 時刻はまだ午後の4時。
 これならもう一杯くらい行けるな〜、と自作うどんMAPを調べ、一番近くに位置する「馬渕手打製麺所」(地図)に狙いを定める。
 なんでもここは農林水産大臣賞を受賞してるらしい。
 こら行っとかなアカンやろ!
 みたいな。

 で行き方はまず国道11号線から高松琴平電鉄の琴平線沿いに曲がって南進する。
 そんで大田南小学校を過ぎた1つ目の信号を東に曲がる、と。
 そこからくねくねと小道を通って大通りの手前まで行くと、左手に製麺所ってゆーより町の工場って感じにしか見えん「馬渕うどん」が!

 まあ、

 馬渕手打製麺所(の貼り紙看板)

 閉まってたけどな。

 3時までて。
 ふぅ・・・。


・ホテル到着

 そんなこんなで時刻も5時前。
 そろそろ泊まるとこ決めんとヤバいか。
 と近くの公衆電話で電話帳を調べてみる。
 んで値段が書いてあるとこで近くて一番安いとこを選んで電話確認。
 今ならまだ空いてるとの事なのでその場で予約を入れる。
 であっさり宿確保完了。

 高松市街に程近いそのホテルNo.1高松に着いたのは、陽が暮れかける頃。
 早速チェックインして部屋をチェック。
 ちなみにホテルの裏手に駐輪所があったけどチャリンコ野郎はここでも俺一台だけだったよ。。。

 狭っ

 おおお〜、ベッドだベッド。
 何日振りだろ。
 まあ部屋が狭いのは致し方ないにせよ値段相応か。

 とりあえず荷物を全て広げ、朝からまだ濡れてる物は干せるところに全て干す。
 特にテント。
 多分クーラー効かしてたらそのうち乾くんじゃねーかなー、と期待を込めて。
 タオル・シャツ・下着等を風呂場で適当に洗い、ロープを使ってそこら中に干す。
 難民キャンプ状態になった気もせんでもないが気にシナイ。

 そこまで済んだら軽くシャワー浴び、早速外へ再出撃。
 なんせ朝からカロリーメイト以外はうどん二杯食っただけじゃけんのう。
 で今度こそはと練りに練って決めたのがJR栗林駅近くにある「松家製麺所」。
 手持ち資料によると、太麺と細麺がありどちらも歯応えもよくオススメだそうな。

 荷物を全部部屋に置いてのママチャリ騎乗。
 例によって荷物0状態のチャリンコ本来の軽さに感動する。
 そらー総重量15kgだもんなあ。

 JR栗林駅まではすぐに着いたが、このうどん屋がまたわかりにくい事わかりにくい事。
 で辺りをぐるぐるぐるぐるしてやっっと見つけたその素朴な店舗で目に入ったものは。。。

 もう慣れたよ

 ま た 閉 店 か い。


・やっとこさ三軒目

 時間に間に合わなんだか麺が切れたか。
 もうすでに耐性がついてきたんで迷う事無く次を物色。
 で比較的近くにあった「塩田麺業」へ!

 塩田麺業

 10分後。
 なんだか怪しい雰囲気漂う店舗ではありますが昼間以来やっと開いてる店に行き着いた。
 ごく個人的な意見と致しましてはピンク色の暖簾水色(食欲減衰色)を基調としたチラシや看板は余りにも趣味が悪いので早急に差し替えにおなりになった方が売上としても多大に影響があるかと愚考したところ。

 それは兎も角。
 中へ入ると外同様ごちゃごちゃしてるも既に食ってる人のを除く限りうどんはさすがに旨そうだ。
 ただ麺はなくなると打つ、を形態としてるようで、この時が丁度麺が切れて次の仕込みに入った直後だった模様。
 「ちょっと時間かかるけどいいかな?」
 との言葉を受け、勿論快く了承。
 打ち立てだー。

 ぶっかけうどん+温泉卵

 待つ程もなくうどん到着。
 お値段はぶっかけうどん250円+温泉卵70円で320円。
 ちょっと高いか?
 まあ市街って事を考えたら十分っつーか今までが安過ぎか。

 卵も丼に入れ、全部を混ぜてくちゃくちゃに。
 それをかっこむ!

 旨し!!

 てかテンカスウマー。
 ゴマもいい感じ〜。
 ちなみに店内は昭和時代の団地の台所をそのまま広げてみたよってな感じで、家族連れなんかには“ちょっとしっかり作られた学園祭の模擬店”風で面白いんじゃないだろかと思ってみたり。


・さぬき高松まつり

 なんとかお腹も落ち着いた。
 が、当初は5軒は回るつもりだったものをこの3軒て終わらせる気には到底ならーん。
 そのつもりで大盛りをあえて選ばず小ばかりをチョイスし続けてきた訳であるし。
 んでどっかイイとこないかな〜と今度は勘を頼って選んでみようと、高松の町をぶらぶらとしてみた。

 そしたらば。
 なんか矢鱈と人が集まってるなー、と思ったところ(中央公園)に近付いてみると、四国4大祭りの1つ「高松まつり」が開催されてるではありませんか!

 高松まつり:商店街の様子  高松まつり:メイン会場(中央公園)

 いやこれはイイっ。
 公園も近くの商店街も浴衣のねーちゃんで一杯だったし!
 いやほとんどカポーかガキばっかだったけど!
 DQNもいっぱい!(でも見てる分には楽しい!)

 隈なく会場を散策し、祭りを隅々まで満喫した後は再びうどんへ出撃。
 だって今日はまだオープニングであり、見所の一つである花火も次の日との事だったので。
 だったらやっぱうどんでしょ。この際は。

 が、サスガにそう都合よくはなかなか見つかんないもんで・・・。
 市街地内をウロウロすること数十分。
 ようやく「手打ちうどん 鶴丸」なるそれっぽい店を丸亀町商店街の隣の筋、ライオン通り沿いに発見!
 早速入ってみる事に。

 入り口はちょっと老舗っぽく入りにくい雰囲気。一人もんにはだろけど。
 店内はなんだか明るい居酒屋風で小奇麗。
 ただ客の方は文字通りひっきりなし状態でありました。
 んで来る客来る客頼んでる「カレーうどん」を自分も頼んでみる。
 基本的にカレーうどんに関しては、大阪は弁天町にある「得正」以上の味に巡り合った事がない(ただ最近チェーンが増えてきたけど)ので興味が沸くところ。

 鶴丸のカレーうどん

 ん。
 普通に旨し。
 つか麺のコシが違うねやっぱ。
 でも“普通”とつけたのは特別に旨いって程でもなかったからではあるけれど。
 しかしお値段650円か・・・。
 何故かトテツもなく高価な食事をしてる気になるのは何故だろう?(笑


・再び一人宴会

 全てを終えて宿に帰り、そろそろ空いてるかなーとコインランドリーのコーナーを覗いてみる。
 ずぅぅぅっと使用中だよ・・・。
 せめて乾燥機だけでも空いてりゃなあ。
 てかなんでこんなデカいホテル(客室215室)で洗濯機が2組しかないんだよ!
 みたいな不満も無きにしも。

 もう部屋干しだけで良しとしよう。
 と決めて後はなんか毎晩の習慣になってしまってるような気もするが、買い込んだ酒で一人宴会Go!

 一人宴会キット+明日の為の水分飲料

 いや都会だけあって安い酒屋があったのよね。
 ちなみに端に写ってるヤタラ自己主張の激しい牛乳は、店で目に入った瞬間飲まねばならん強迫観念に駆られて無心で購入したものでありますウイ。

 祭りの音色を遠くに聴きつつ、いい感じに酔いまくり。
 昼間は思い返せないくらいにいっろいろあったし。
 旅先で、一人とはいえ心置きなく適度な疲労感に漂いながらの酒。
 いいもんだ。

 心地よい気分のまま11時と待たずにこの日は就寝。
 久々のベッドの感触は、きっと快適な眠りを約束してくれるかのようでありました。

 この日の走行距離 : 約 67 km


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