2日目(2) 】  : 高知市街 (高知)甫喜ケ峰 (高知)
・怒涛の夕食続き

 神々しいとさえ言える天井

 き た な い。
 まずそのフレーズが頭に浮かんだが、よく見てみると特にゴミがある訳ではない。
 ただ内装自体があまりにも古いだけっぽい。それもなんだが。
 ただゴミはあった。おそらく店主としてはそれはゴミではないのであろう。
 店中にちりばめられた使用済みの蜂の巣。天井からわざわざ吊るしてるのもあるし。
 い、意味が・・・。飲食店だよね?ここ一応。
 カウンターには人を寄せ付けぬべく金魚蜂(中身水のみ)やらデカい壷やら訳のワカらない装飾物に空き瓶に空きティーカップ等が所狭しと無秩序に並べられ、不気味さを誘うように周りを剥製達に彩られたその店内にはある種感動すら覚えるよママン!
 “今すぐここを出るべきだっ”と脳内中にアラームが鳴り響いていたけども、これらをしげしげ観察してる間にとても引き返せぬ位置まで店内に侵入してしまってました。まる。

 これ、厨房です

 店にはおばちゃんと犬が一匹。
 別に取って食われそうな雰囲気ではない。
 ただただ近所の廃屋に迷い込んだら人がいた、というマインド漂う雰囲気。
 ともかく気を取り直してメニューを見る。色々あったが『うなぎ丼』をチョイス。
 てゆーかおばちゃんによると「それがオススメ」との事。
 注文したと同時におばちゃんは何故か店の外へ。
 窓から見てると、店の外に置いてある巨大冷凍庫からカッチカチに凍った鰻とおぼしき物体を取り出してきた。
 いやじゃー店内にあるこの冷蔵庫は一体・・・。

 調理方法は至って簡単。
 まずはレンジでチンして解凍。
 ここらへん、何度も何度も試してるあたり、相当凍ってんのか単に実は慣れてないのか。前者でも後者でもあまり救いは感じないが。
 次にそれをおもむろに油をひいたフライパンの中へ。
 そして炒めて・・・ってうなぎ丼ってこうゆう料理だったの?!
 まだまだ世間知らずだったんだな、、、俺。

 でそこから数分、出てきたのがコレ。

 うなぎ丼

 チンしたおかげで中がふにゃふにゃで、外は油でギトっとしてる。
 タレと共に炒めたようで、味が非常によく染みている。てかぶっちゃけ味付け濃いぃよおばちゃん。
 ただ、ただである、これが1匹丸ごとなんで結構デカい。
 お吸い物も付いて600円でこのボリュームはなかなかないんじゃなかろうか。
 あと、ご飯はまあまあ。というか旨いかも。
 でお水が文句無しに旨い!
 透明感がやたらあって妙にスッキリしてる感じで。
 そこらへんを聞いてみると、おばちゃん曰く水道水ではなくて山からの湧き水を引いてきてるとの事。
 これだけは何杯もお代わりしてしまった。

 食べながら、おばちゃんと色々話し込んだ。
 よく考えたら旅に出発して以来、ほとんど人と会話してないんだった。
 大阪に来た事もあるそうで、そこからフェリーに乗って高知から来て、明日から高松に向かうんスよ的な話しをすると「若い人ぁ元気だねぇ」みたいな事を言われた。いや若かぁないんだが。
 なんでも先週にはこの町内の祭りがあったそうで、それはそれは盛大だたそうな。(おばちゃん談)
 見た感じ人っこ一人見かけないのになあ、と思ったまんまを聞いてみたところ、帰省で戻ってきた人も数多くいて、更には青年団の尽力により郷土出身の有力者から寄付を募りまくり、夜店はもちろんカラオケ大会やらバーベキューやら薄型TVとかが当たるクジ引きなんかもイベントされてたという。そら凄い。
 この街灯すらほとんど見かけないこの辺りのそのらしからぬその祭りとは一体・・・見てみたかったー!

 キャンプ場に泊まってる旨の話しをすると、「そこ予約しとかんとあかんで」的な事を言われる。
 が後で見ても現地に管理する人なんて誰もいなかった事であり、これはヨシとしておこう。
 シャワーがあるけど石鹸持ってきてないんで使えないんスよーどっか売ってるとこないっスかねえ、と話しを振ってみると、「余ってるのがあるから良かったらあげるよ」とのお言葉を頂く。
 ここでホントに頂けた石鹸(しかも柚子の香り)は後々まで洗濯等にも使う事になり、メチャありがたかった。

 ソラなる黒犬
 食い終わる頃にここで飼われてるとみられる一匹の犬が店に入ってきた。
 黒っ。
 出入りは自由なようでちっともじっとはしてなかったけど。
 こいつの名前が「ソラ」というそうで、その昔出会った同じ名前の犬に喜びのあまり(と信じたい)盛大に小便引っ掛けられたリメンバーがあったんだが今となっては良い思い出である。
 しかしこっちの「ソラ」には何故か大変怯えられ、撫でる機会すらなく終始おばちゃんの足元でウロウロしてたのはある意味微笑ましい。

 食い終わって外に出てみると、夕暮れも過ぎて夜の雰囲気が濃くなってた。
 なんか所々、散々に書いた面もあるような気もするけど、決してここが嫌だった訳ではない。
 つか再び近くを訪れる事があれば、俺は必ずやもう一度この店へ来るだろう!
 うな丼は頼まないけど・・・。


・一人宴会

 テントに帰り、公園備え付けの施設に行って先ほど頂いた石鹸で早速シャワーしてみる。
 やはりというか世間は甘くないというか、お湯が出ねえ。水Only。
 が、今の季節には丁度良い感じで、結局それで頭から何から全身くまなく洗ってかなりサッパリする事が出来た。
 更にそのまま一時は搾れそうなくらいに汗まみれになったシャツやパンツなんかも洗っておいた。
 皮グローブも汗で色が抜けまくってえらい事になってたので、ここで抜けれる限り色を抜いておこうと洗いまくっておく。
 そしてそこらへんの木に荷物を自転車に固定するために使ってたゴムロープを巻きつけ、そこに洗濯物を物干しておいた。一晩もすりゃちょっとは乾いてるんではなかろうか、という予想のもとに。

 んでそんなこんなをしてる間に陽もどっぷり暮れ、テントでゆっくりしだしたんだが・・・やる事ねぇよ
 もう旅のルートは一本道で決まってるし、参考書も持ってきてはいたけど読む気力はマイナスを軽く突破してたし。
 ただ、ここまで経ってもまだ先ほどの鰻のタレの味が口の中に残ってるってのがなんとも言えんところ。

 つか、これを肴に酒でも飲むか?

 こう思い至って速攻買い出しに出る。
 幸いまたまた32号線まで戻ってしばらく行ったところに小さ〜い商店があり、そこでオマケのように売っていた発泡酒とチューハイをゲッツ。
 再びキャンプ場に戻り(一体俺何回往復してんだろ)、ベンチに座って月の舞う夜空を見ながらビールを味わう。
 こらあ格別だね〜。
 ウナギ(の残り香)をツマミに飲んでる訳だし。一応。
 唯一キャンプ場にいた親子連れも、既にテントに引っ込んでほぼ人気はなし。
 虫の声だけを聞きながらまったり呑む。
 なかなかいいもんである。

 それにしても一日で色んな事が起こるなあ。
 それにいろんな事を考えて行動しないといけないし。
 その結果が全て自分に直結してくる。
 それがおもろいんだけど。
 とかなんとか思いながら、それら今日の日記を書きつつテントにて就寝したのであった。

 木々に舞うシャツとパンツ達 (あまりにも見苦しいので拡大はなし)

 この日の走行距離 : 約 34 km


 ≪その1  次の日≫


 Top

 MENU  TOP  HOME