出発


その日の朝は5時には起き、準備万端整えて6時には家を出る。

昼前には余裕で姫路に着き、ゆっくりと2国ラーメンを味わった後、

午後からはのんびりとオフ会の集合時間である夕方まで姫路観光に繰り出す。

予定であった。


朝、目が覚めると9時

マイガッ!

いきなりかい。俺。

まー昨夜は飲み過ぎた(注:生中一杯)し食い過ぎた。

朦朧とした意識の中、漠然と「明日は早く起きんとなー」と考えて寝てみても、それを守るには私の意志は弱すぎたようだ。


と、とりあえず風呂には入らんとね。

ぐっすり眠ったせいでお肌はピチピチ(当者比)だが、この痒くなり始めた頭だけはイカンともし難い。

湯沸かしに火を入れ、脱衣所で服を脱ぐ。

むぅ。

この出っ張ったハラを見る限り、今日に備えてやってきた毎日の腹筋運動は、圧倒的な暴食の日々の前に何ら効果を示さなかったようである。

 「ちょっと情けないけど、まいっか」

別に姿形を見せたいわけではない。

心を見せたいのだ

まーそれに師匠だって実はめちゃハラ突き出てるって言うし。

ふと思い出したその事実(?)に勇気づけられ、私は早々に身を清め、寝坊した時間を挽回するべく颯爽と準備を整えてゆく。


まずはデジカメ。記憶力の弱い私にこれは外せません。

それに“師匠やアミーゴの皆さんを写したい!”という強烈な欲求もある。

たとえ断られようとも隠し撮りするつもりだ。

師匠の顔を壁紙にするもよし、皆さんの顔でスクリーンセーバーを作るもよし。

ああ、うっとり

あと、どなたかがノートパソコンを持って来ていればその場でデジカメの画像が見れるようアダプターも一応持っていく。

酔いチェッカー それからそれから・・・わざわざ今回の為だけに大枚はたいて買った酔いチェッカー

このマシーンに向かって警察の検問よろしくふ〜っと吹くと自分の酔い具合がわかるのだ。

ってゆーかその検問に引っ掛かるかどうかがわかるのだ。

これで飲酒運転もバッチリ!



MICKさんからのoff会に関するメールやHPをプリンターで打ち出し、これでモノの準備はととのった。

あとは服装だな。

ただ、一つだけここで困った問題がある。

それは、私のファッションセンスが0どころかマイナスであるという点だ。

こればっかりはそれについて今までほとんど気にした事がなかった、という人生の順当な結果である。

だが、こんな時には我が姉(職業:服屋の店長)の出番だ。

もちろん、見立ててくれる、等という事は決してしてはくれないが、一応変でないかどうかぐらいは見てくれるのである。

別にええんちゃう?

何とかOKを頂いた。

やっぱ普段の服にいつもの靴だね。

自分でもこれが一番良いし、多分これで良いのだ。


荷物を持って家を出る。

空は素晴らしい一面の曇り空だ。

カッコインテグラ 駐車場にて我が愛車カッコインテグラを見てみると、屋根の上に無数の蟻が・・・

最近乗ってなかったかんなー。

でも、ま、いっか。

いつもなら丹念に払いのける所だが今日はすこぶる気分が良い。

「お前らも姫路に行くか?」

そんなちょっとイカした事を言いながら私は愛車に乗り込み、素早くエンジンを始動する。

いよいよ姫路へ出発だ。

ちなみに、この時点で車についてる時計を見てみると10時をとっくに過ぎていた


曇天模様の空の下 道中、阪和道→阪神高速→神戸線へと順調に抜けていく。中国道は高いからパスだ。

車は曇り空を抜けて、だんだん神戸まで近づいてくる。

そしてこの時最初の事件は起こった

ここで一言私は言っておきたい。

旅行の鉄則(?)にあるように、わたしはちゃんと出発前にトイレに行っている。

そして、その時それから一時間くらいしか経っていない。

なのに、、、強烈な尿意が私を襲ってきたのである!

敵の正体は間違いなく昨夜のビールかその後正気に戻ろうと死ぬほど飲んだウーロン茶だろう。

だが敵を知り、己を知っても、ここらへんの地の利を私はまったく知らなかった。

や、やべえぇ。

地図を見れどもこの近辺にはパーキングすらない。

そして時を同じくして発生した大渋滞

ここが西名阪なら“路肩走り”の反則技が使えるのだが・・・

そんな事を考えている間も徐々に膀胱の悲鳴が大きくなってくる。

くっ、もう何か考えてる場合じゃない、降りねば!

どうやって降りたのかは覚えていないが、気がつくと2号線沿いのハーバーランドあたりの前だった。

ここなら便所は確実にあるだろうが、今日は土曜日。駐車場待ちの行列がどくのを待ってる間に確実に漏れてしまうだろう。

ここを断腸の思いで通り過ぎ、しばらく真っ直ぐ走ってみたがぜんっぜんコンビニとかすらねぇ〜

もーこうなったら♂だけの特権、立ちションと行くか。

しかし生来のシャイ野郎である私はハンパな隠れ場所では恥ずかしくて出来ない。

そんな場所もねぇ〜

困った。思考もだんだんオカしくなってくる。

そしてココにありそうだココはどうだと適当に走っていくうちに、何処が何処やらさっぱりわからない所に入り込んでしまった。



どこやココ?

地図を見る余裕もなくなってきていた。

だが、もう狙いは絞ってある。

ガソリンスタンドかパチンコ屋だ。

しかしこういう時に限って何故かスタンドは反対車線側にばかりある。

なんでじゃー!

しかも土曜日に店閉めるんじゃねー!ってところも。

パチンコは大抵「当店に関係ない車両をお停めになると罰金を頂きます」なんて貼ってある。

普段なら気にもしない貼り紙だがその時は頭がおかしかった。その貼り紙に恐れをなして引き返してしまったのだ。

何してんだー!俺。

どうしよう、もう一度引き返すか?

そんな事を考えているうち、またまた反対車線に今度はガソリンスタンドが見えてきた。

もうこーなったらUターン禁止なんて気にしてる場合じゃぁない。

速攻Uターン!

停め、ガスの口を開き、「ハイオク満タン現金で」と告ぎ、鍵と財布だけ持って車外へ。

この間5秒くらいだったろう。多分人生最速だ。



出るわ出るわの行為を終え、車に戻ると、

 「ハイッ千円ね」

・・・また、使わんでもええカネ使ってしまった。

だがこの行動が数時間後ココロに救いを与えてくれるとはこの時夢にも思ってはいなかった。



そして私は高速に向けて再び走りだす。

きっともうすぐだ。そう自分を励ましたが、

時刻は既に12時を過ぎていた




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